ベッド選びで一番悩むのが、自分に合ったマットレスの種類ではないでしょうか。「スプリングマットレス」は昔からある定番の寝具ですが、実際にどのような構造で、他の素材と何が違うのか分からないという声もよく聞きます。毎日体を預けるものだからこそ、特徴をしっかり理解しておきたいですよね。
この記事では、スプリングマットレスの基本的な仕組みやメリット・デメリット、そして失敗しない選び方まで分かりやすく解説します。構造の違いを知れば、あなたにぴったりの一枚がきっと見つかりますよ。

スプリングマットレスとは?基本的な構造と特徴
スプリングマットレスは、ベッド用マットレスの中で最もポピュラーなタイプです。内部に金属製のバネ(コイル)が使われているのが最大の特徴と言えます。まずはその基本構造を見ていきましょう。
1. 内部に金属コイルが入った「2層構造」の仕組み
スプリングマットレスは、大きく分けて2つの層で構成されています。一つは体を直接受け止める「詰め物(クッション層)」、もう一つがその下で体重を支える「スプリング層」です。
クッション層にはウレタンフォームや羊毛、綿などが使われ、肌触りや初期の感触を決めます。その下にある金属製のバネが、体全体の重さをしっかりと支える役割を果たします。この2層が協力することで、快適な寝心地が生まれるのです。
2. 多くのホテルで採用される「弾力性」と「支持力」
ビジネスホテルや高級旅館の多くで、スプリングマットレスが採用されているのには理由があります。それは、多くの人の体重をしっかり支えられる「支持力」と、へたりにくい「耐久性」があるからです。
金属バネ特有の弾力性は、寝返りを打つ際の助けになります。体が沈み込みすぎず、適度な反発力で押し返してくれるため、スムーズに体の向きを変えることができます。これは質の高い睡眠にとって重要な要素です。
3. ウレタン(ノンコイル)マットレスとの決定的な違い
最近よく見かけるウレタンマットレス(ノンコイル)との最大の違いは「通気性」にあります。ウレタンはスポンジ状の素材が詰まっているため、どうしても熱や湿気がこもりやすくなります。
一方、スプリングマットレスの内部はバネと空洞がメインです。空気が通り抜けるスペースが広いため、寝ている間にかいた汗や湿気を効率よく外へ逃がしてくれます。湿気の多い日本の気候において、これは大きな強みです。
スプリングの種類は主に3つ!それぞれの違いとは?
一口にスプリングマットレスと言っても、バネの形状や並べ方によって寝心地は全く異なります。ここでは代表的な3つの種類を比較してみましょう。
| 種類 | 特徴 | 硬さ | おすすめな人 |
| ポケットコイル | 点で支える | 普通〜柔 | フィット感重視、二人寝 |
| ボンネルコイル | 面で支える | 硬め | 布団派、価格重視 |
| 高密度連続 | 一筆書き構造 | 硬め | 耐久性・通気性重視 |
1. 【ポケットコイル】体を点で支えてフィット感抜群
ポケットコイルは、バネの一つひとつが独立した不織布の袋に入っているタイプです。バネが連結されていないため、体の凹凸に合わせて個別に沈み込みます。これを「点で支える」と表現します。
肩や腰など重い部分は深く沈み、軽い部分は浅く沈むため、体へのフィット感は抜群です。無理のない姿勢で眠れるので、体圧分散を重視する方や、横向きで寝る癖がある方に適しています。シモンズなどの有名ブランドが多く採用しているのもこのタイプです。
2. 【ボンネルコイル】面で支える硬めの寝心地と通気性
ボンネルコイルは、複数のバネがワイヤーで連結されて一体化しているタイプです。体を「面で支える」構造になっており、畳の上に布団を敷いたような、しっかりとした硬めの寝心地が特徴です。
バネ同士がつながっているため、体の一部だけでなく全体で体重を受け止めます。あまり沈み込みたくない方や、仰向けで寝ることが多い方におすすめです。構造がシンプルなので通気性が良く、比較的安価なモデルが多いのも魅力です。
3. 【高密度連続スプリング】耐久性に特化した一本の鋼線
高密度連続スプリングは、1本の鋼線を編み上げるようにしてマットレス全体のスプリングを作る構造です。主にフランスベッドが採用している独自の技術として知られています。
継ぎ目がないため部分的な落ち込みが少なく、驚くほどの耐久性を誇ります。また、布の袋に入っていないため、内部の通気性は全タイプの中で最も優秀です。汗っかきの方や、とにかく長く使いたいという方に最適です。
スプリングマットレスを使う5つのメリット
ウレタンやラテックスなど様々な素材がある中で、あえてスプリングを選ぶメリットはどこにあるのでしょうか。具体的な利点を5つ紹介します。
1. 通気性が高く、日本の湿気でもカビにくい
先述した通り、金属スプリングの内部は空洞が多く、空気が循環しやすい構造です。人は寝ている間にコップ1杯分の汗をかくと言われますが、その湿気を内部に溜め込まずに発散できます。
特に梅雨の時期や、湿気がこもりやすい部屋で使う場合、カビのリスクを減らせるのは大きな安心材料です。定期的な陰干しが難しい場合でも、素材自体の通気性が衛生面をサポートしてくれます。
2. 耐久性が高く、8〜10年以上長く使える
金属製のバネは、ウレタンなどの発泡素材に比べて経年劣化に強い性質を持っています。品質にもよりますが、適切なメンテナンスを行えば8年から10年、高品質なものであればそれ以上使い続けることも可能です。
初期費用が少しかかったとしても、買い替えの頻度が少なくて済むため、長い目で見ればコストパフォーマンスが良いと言えます。へたりにくいベッドで長く眠りたいなら、スプリング製が有力な候補になります。
3. 強い反発力で「寝返り」がスムーズに打てる
「良い睡眠には適度な寝返りが必要」という話を聞いたことはありませんか?寝返りは、血液の循環を促し、体温調節をするための大切な生理現象です。
スプリングマットレスはバネの反発力(跳ね返す力)があるため、少ない筋力でコロッと寝返りを打つことができます。低反発素材のように体が埋まりすぎて身動きが取れなくなることが少ないため、朝起きた時の体の疲れが軽減される傾向があります。
4. 体の重い人でも沈み込みすぎず腰への負担が少ない
体重が重い方が柔らかすぎるマットレスを使うと、腰部分が過度に沈み込み「くの字」の姿勢になってしまうことがあります。これは腰痛の大きな原因の一つです。
スプリングマットレス、特にボンネルコイルや高密度連続スプリングは、しっかりとした硬さがあります。重い体を面で支えて背骨のS字ラインをキープしてくれるため、腰への負担を和らげたい大柄な男性などにも支持されています。
5. サイズや硬さのバリエーションが豊富で選びやすい
スプリングマットレスは歴史が長く、世界中のメーカーが製造しています。そのため、サイズ展開や硬さのバリエーションが非常に豊富です。
シングル、セミダブルといったサイズはもちろん、ショート丈やロング丈など、部屋の広さに合わせた選択が可能です。また、上に乗せる詰め物の種類によっても寝心地が変わるため、自分好みの感触を見つけやすいという利点があります。
購入前に知っておきたい3つのデメリット
メリットが多い一方で、構造上のデメリットも存在します。購入してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、事前に確認しておきましょう。
1. 重量が重く、一人での移動や陰干しが大変
金属の塊が入っているため、どうしても重量は重くなります。シングルサイズでも20kg前後、厚みのある高級モデルだと30kgを超えることも珍しくありません。
引っ越しの際や、部屋の模様替えでベッドを動かしたい時に、一人では持ち上げられないことがあります。また、シーツ交換の際にマットレスを持ち上げるだけでも一苦労、という声も聞かれます。
2. 振動が伝わりやすいタイプがある(二人寝の注意点)
バネが連結されているボンネルコイルなどは、振動が全体に伝わりやすい性質があります。二人で寝ている場合、どちらかが寝返りを打ったり起き上がったりすると、その揺れが相手に伝わって目を覚まさせてしまう可能性があります。
二人以上で一つのベッドを使う場合は、振動が伝わりにくいポケットコイルを選ぶか、シングルサイズを2台並べて使うなどの工夫が必要です。
3. 金属を含むため、処分時に手間や費用がかかる
スプリングマットレスは「適正処理困難物」に指定されている自治体も多く、処分が少し面倒です。金属と布、ウレタンが複雑に絡み合っているため、解体して分別するのが非常に難しいためです。
そのまま粗大ゴミとして出せる地域もありますが、回収を受け付けていない地域もあります。その場合は専門の業者に依頼する必要があり、ウレタンマットレスに比べて処分費用が高くなる傾向があります。
自分に合うのはどれ?失敗しない選び方のポイント
種類が多すぎて選べないという方のために、チェックすべき具体的なポイントを3つに絞りました。これらを基準に探すと、選択肢を絞り込みやすくなります。
1. 「硬め」か「柔らかめ」か?コイルの線径を確認する
カタログやスペック表を見ると「線径(せんけい)」という項目があります。これはバネに使われている鉄線の太さのことです。この数値を見るだけで、ある程度の硬さを予測できます。
- 1.7mm〜1.9mm:やや柔らかめ〜普通
- 2.1mm以上:硬め
「しっかり体を支えてほしい」なら線径が太いものを、「包み込まれるような寝心地が好き」なら細いものを選ぶのが基本です。
2. 体圧分散を重視するなら「コイル数」の多さをチェック
特にポケットコイルの場合、中に入っているコイルの数(密度)が重要です。コイル数が多ければ多いほど、体のラインを細かく捉えて支えることができます。
一般的なシングルサイズで400〜500個程度が目安ですが、より高い体圧分散性を求めるなら600個以上の高密度タイプを検討してみてください。数が多すぎると硬く感じることもあるため、バランスを見ることが大切です。
3. 二人で寝るなら「横揺れ」の少ないポケットコイル一択
ダブルベッドやクイーンベッドで二人一緒に寝る予定なら、迷わずポケットコイルを選びましょう。先ほど触れた通り、独立したバネが振動を吸収してくれるからです。
相手の帰宅時間が遅い場合や、寝返りの回数が多い場合でも、隣で眠るパートナーの睡眠を妨げにくくなります。睡眠の質を保つための投資として、ここは妥協しないことをおすすめします。
寿命はどのくらい?買い替えのサインとは
どんなに良いマットレスでも、いつかは寿命が来ます。適切なタイミングで買い替えないと、体の不調につながることもあります。
1. スプリングマットレスの平均寿命は8年〜12年
一般的なスプリングマットレスの寿命は、8年から12年程度と言われています。ウレタンのみのマットレスが3〜5年程度であるのと比較すると、倍以上の長持ちです。
ただし、これはあくまで目安です。使用者の体重や、日頃のメンテナンス頻度によって大きく変わります。高級モデルであっても、20年も30年も変わらない性能を維持できるわけではありません。
2. 寝起きに腰が痛い・背中にバネを感じたら替え時
「最近、朝起きると腰が重い」「背中に金属の硬いものが当たる気がする」と感じたら、それは詰め物がへたってきている証拠です。クッション層が潰れて、バネの硬さが体に直接伝わってしまっています。
この状態で使い続けると、血流が悪くなったり、背骨に負担がかかったりします。目に見える破損がなくても、寝心地に違和感を覚えたら買い替えを検討するタイミングです。
3. 中央部分の凹みや、きしみ音が大きくなったら注意
ベッドパッドを外した状態で、マットレスの表面を見てみてください。お尻や腰が当たる中央部分だけが凹んで戻らなくなっていませんか?これはバネ自体の弾力が失われているサインです。
また、寝返りを打つたびに「ギシギシ」と大きなきしみ音がする場合も、内部のバネや連結部分が劣化している可能性があります。これらの症状が出たら、寿命が尽きていると判断して良いでしょう。
長持ちさせるために!日々のお手入れ方法
せっかく買ったマットレス、できるだけ長く快適に使いたいですよね。少しの手間で寿命を延ばすことができるプロ直伝のケア方法を紹介します。
1. 3ヶ月に1回は上下・裏表をローテーションする
ずっと同じ向きで寝ていると、腰やお尻が当たる特定の部分だけに負荷がかかり続けます。これを防ぐために、3ヶ月に1回程度、マットレスの向きを変えましょう。
まずは「頭側」と「足側」を入れ替えます。両面使えるタイプであれば、「表面」と「裏面」もひっくり返します。こうして負荷がかかる場所を分散させるだけで、へたりを大幅に遅らせることができます。
2. ベッドパッドやプロテクターで汚れと湿気を防ぐ
シーツの下に「ベッドパッド」や「マットレスプロテクター」を敷いていますか?これらは寝心地調整だけでなく、汗や皮脂汚れがマットレス本体に染み込むのを防ぐ重要な役割があります。
マットレス本体は洗うことができません。だからこそ、洗えるパッド類でガードすることが大切です。こまめに洗濯することで、ダニやカビの発生も抑制できます。
3. 定期的に壁に立てかけて、底面の湿気を逃す
スプリングマットレスは通気性が良いとはいえ、底面には湿気が溜まりがちです。特にフローリングに直置きしている場合や、すのこベッドでない場合は注意が必要です。
月に1回程度で良いので、マットレスを壁に立てかけて、底面に風を当ててください。これをするだけで内部の湿度が下がり、カビの発生リスクをぐっと減らすことができます。
スプリングマットレスの処分方法は?捨てる時の注意点
最後に、購入時に一番の懸念点となりやすい「処分方法」について解説します。いざという時に困らないよう、知っておくと安心です。
1. 自治体の「粗大ゴミ」として出すのが最も一般的
多くの自治体では、スプリングマットレスを粗大ゴミとして回収しています。費用は地域によりますが、1,000円〜3,000円程度で済むことが多く、最も安価な方法です。
ただし、「スプリング入りは回収不可」としている自治体もあります。必ず住んでいる地域のゴミ出しルールを確認してください。収集場所まで自分で運び出す必要がある点も留意しておきましょう。
2. 買い替え時に販売店に「引き取り」を依頼する
新しいマットレスを買うタイミングであれば、購入店による「引き取りサービス」を利用するのが一番スムーズです。ニトリや無印良品、大手の家具店であれば、配送と同時に古いマットレスを回収してくれるサービス(有料・無料あり)を用意しています。
これなら自分で重いマットレスを運ぶ手間が一切かかりません。購入時にこのサービスがあるかどうかを確認するのが、賢い買い方のひとつです。
3. 解体は困難なため、無理せずプロや回収業者に頼む
「解体すれば普通のゴミで出せるのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、スプリングマットレスの解体は非常に危険です。強力なニッパーやボルトカッターが必要で、切断したバネが弾けて怪我をする恐れがあります。
自治体で出せず、引き取りサービスも使えない場合は、不用品回収業者に依頼しましょう。費用はかかりますが、部屋からの搬出まで全て任せられるので、安全かつ確実に処分できます。
まとめ:耐久性と通気性を求めるならスプリングマットレス
スプリングマットレスは、金属コイルによる「確かな支持力」と「高い通気性」が魅力です。重量があることや処分時の手間といったデメリットはありますが、それを補って余りある耐久性と寝心地の良さがあります。
特に、湿気の多い日本で長く清潔に使いたい方や、腰への負担を減らしてしっかり眠りたい方にとっては、最良の選択肢となるはずです。種類による違いや、自分の体格に合った硬さを確認して、ぜひ長く付き合える一枚を見つけてください。質の高い睡眠は、毎日の生活をより豊かにしてくれますよ。