最近、寝具店やネット通販で「ファイバーマットレス」という言葉をよく目にしませんか。プロのアスリートが愛用していることでも有名になりました。
でも、実際にどんな素材で作られているのか気になりますよね。この素材は、従来のスポンジのようなウレタンや、鉄のバネを使ったコイルとは全く違う仕組みです。
この記事では、ファイバーマットレスの特徴やメリット、知っておきたい注意点を詳しくお伝えします。自分に合った1枚を見つけるための選び方も解説するので、ぜひ参考にしてください。

ファイバーマットレスとはどんな素材で作られている?
ファイバーマットレスの見た目は、まるで春雨や白滝が絡まったような不思議な形をしています。プラスチックの一種である樹脂を細い紐状にして、複雑に編み込んで作られています。
この独特な構造が、今までの寝具にはなかった驚きの機能を生み出しました。まずは、その中身がどうなっているのかを3つのポイントで見ていきましょう。
1. ポリエチレン樹脂を網目状に編んだ3次元構造
ファイバーマットレスの主な原料は、ポリエチレンやポリエステルといった樹脂素材です。これらを加熱して溶かし、細い糸のように噴射して成形します。
糸同士が複雑に絡み合い、そのまま冷えて固まることで1枚の板状になります。これを3次元構造体と呼び、どの方向から荷重がかかっても支えられるのが特徴です。
2. 中身の90パーセント以上が空気の隙間でできた仕組み
驚くべきことに、マットレスの体積の約90パーセント以上が空気で占められています。中身がぎっしり詰まっていないため、見た目以上に軽くて通気性が抜群です。
熱がこもりにくく、湿気を外に逃がす力が非常に優れています。まるで空気のクッションの上で眠っているような、爽やかな寝心地を実現しています。
3. 釣り糸のようなポリエチレン素材を固めた独自の弾力
使われている樹脂は、ちょうど太い釣り糸のような感触をイメージしてください。指で押すと、しっかりとした跳ね返りがあるのがわかります。
この素材を密集させて固めることで、独特の強い弾力が生まれます。体が沈み込みすぎないため、寝姿勢をまっすぐに保つサポートをしてくれます。
ファイバーマットレスとウレタン・コイル素材の違い
マットレスの素材には、ほかにもウレタンやポケットコイルなどがあります。それぞれに良さがありますが、ファイバー素材には決定的な違いがいくつか存在します。
自分にとって何が一番大切かを考えるために、主な素材の特徴を比較表にまとめました。
| 特徴 | ファイバー | ウレタン | コイル |
| 通気性 | 非常に高い | 低い(こもりやすい) | 高い |
| 洗濯 | 丸洗い可能 | 不可 | 不可 |
| 硬さ | 硬め(高反発) | 柔らかめ〜硬め | 普通〜硬め |
| 重さ | 軽い | 軽い | 重い |
1. 蒸れにくさと通気性の圧倒的な差を比較
一番の違いは、空気の通り道の多さです。ウレタンは細かい泡の集まりなので、どうしても熱や湿気が中に留まってしまいます。
対してファイバー素材は、スカスカの網目構造なので風がそのまま通り抜けます。夏場の寝苦しさを解消したい人にとって、これ以上の素材はありません。
2. 身体を押し返す高反発な跳ね返りの強さ
ファイバー素材は、コイルマットレスに近いしっかりとした反発力を持っています。体が触れた瞬間に、上方向へ押し返してくれるような感覚です。
寝返りを打つときも、素材の反発力が動きを助けてくれます。柔らかいマットレスで体が沈んで腰が痛くなる人には、この硬さが心地よく感じられます。
3. 女性でも持ち運びしやすい軽量設計のメリット
鉄のバネを使っているコイルマットレスは、1人で動かすのが大変なほど重いです。しかし、樹脂と空気でできているファイバー製は驚くほど軽量です。
お掃除のときに立てかけたり、シーツを掛け替えたりする作業が楽になります。力の弱い人や高齢の人でも、手軽に扱えるのが嬉しいポイントです。
ファイバーマットレスを使って感じる大きな魅力
実際にファイバーマットレスを使い始めると、その清潔感に驚くはずです。他のマットレスでは絶対にできない「あること」が、この素材なら可能になります。
毎日の睡眠を快適にするだけでなく、メンテナンスのしやすさも選ばれる理由です。具体的にどのような魅力があるのか深掘りしていきましょう。
1. 夏場の寝汗による蒸れや寝苦しさを解消する涼しさ
人間は寝ている間にコップ1杯分の汗をかくと言われています。ファイバー素材はその湿気を素早く逃がすため、背中がベタつく不快感がありません。
特に熱帯夜などは、背中の温度が上がりにくいだけで入眠がスムーズになります。エアコンの風を適度に通してくれるので、涼しく眠りたい人には最適です。
2. 汚れたらシャワーで丸洗いできる清潔な衛生面
この素材最大のメリットは、お風呂場のシャワーで丸洗いできることです。飲み物をこぼしたり、お子様がおねしょをしたりしても心配いりません。
中まで水を通して汚れを洗い流せるため、いつでも新品のような清潔さを保てます。ハウスダストやアレルギーが気になる人からも、高い支持を得ています。
3. ダニやカビが繁殖しにくい樹脂素材の安心感
ダニは湿気があり、エサとなるホコリがたまる場所を好みます。しかしファイバー素材は水分を保持せず、樹脂なのでダニのエサにもなりません。
カビの発生率も極めて低く、ジメジメした季節でも安心して使えます。衛生面を最優先したい人にとって、これほど頼もしい素材は他にありません。
ファイバーマットレスのデメリットと弱点
完璧に見えるファイバーマットレスですが、いくつか注意すべき弱点もあります。素材の特性を知っておかないと、思わぬ失敗をしてしまうかもしれません。
特に温度管理と寿命については、事前に理解しておくことが大切です。購入後に後悔しないよう、代表的なデメリットを確認しておきましょう。
1. 熱に弱く40度以上の熱で変形するデリケートな性質
樹脂でできているため、熱にはあまり強くありません。多くの製品で、40度から50度以上の熱を加えると素材が柔らかくなり、変形する恐れがあります。
布団乾燥機や電気毛布を高温で使うのは控えたほうが無難です。熱によるダメージを受けると、元通りの弾力には戻らないので注意してください。
2. 通気性が良すぎて冬場は冷気が入り込み寒いこと
夏に涼しいという長所は、冬には短所になります。床からの冷たい空気が網目を抜けて、背中に伝わってくることがあるからです。
冬場にそのまま使うと、スースーして寒さを感じてしまいます。冬に使う場合は、敷きパッドを重ねるなどの対策が欠かせません。
3. ウレタン素材に比べてへたりが早く感じる寿命の短さ
高品質なコイルマットレスが10年以上持つのに対し、ファイバー製は3年から7年程度が目安です。特に同じ場所ばかりに荷重がかかると、網目が潰れてへたってきます。
高級ブランドの「エアウィーヴ」などは耐久性が高いですが、安価な製品は早く寿命がくることもあります。長く使うためには、適切なメンテナンスが必要です。
腰痛に悩む人にファイバー素材が選ばれる理由とは?
腰痛持ちの人にとって、マットレス選びは死活問題ですよね。ファイバーマットレスは、そんな悩みを持つ人たちから注目を集めている寝具です。
なぜ腰への負担が少ないと言われているのでしょうか。そこには、3次元構造ならではの科学的な理由が隠されています。
1. 背骨のカーブを自然な形に保つ高いサポート力
腰痛の原因の1つは、寝ている間に背骨が不自然に曲がってしまうことです。ファイバー素材は適度な硬さがあり、腰が深く沈み込むのを防いでくれます。
立ったときと同じような、自然なS字カーブを維持したまま眠れます。朝起きたときに腰が重いと感じる人には、この支える力が大きな助けになります。
2. 体圧を分散して特定の場所に負担をかけない構造
網目状の繊維が、体の凸凹に合わせて複雑に形を変えてくれます。これにより、肩や腰といった特定の部位だけに体重が集中するのを防ぎます。
全身を均等な力で支えてくれるので、血行を妨げにくいのがメリットです。体圧が分散されることで、一部が痛くなるのを防いでくれます。
3. 少ない筋力でスムーズな寝返りを助ける高反発の力
人は一晩に20回から30回ほど寝返りを打ちます。ファイバー素材の強い反発力は、まるでトランポリンのように体の動きを後押ししてくれます。
余計な筋力を使わずにくるりと寝返りができるため、睡眠の質が向上します。寝返りがスムーズになると腰への負担も減り、深い眠りに入りやすくなります。
失敗しないファイバーマットレスの選び方のポイント
ファイバーマットレスは、厚みや構造によって使い心地が大きく変わります。自分の今の寝具環境に合わせて、最適なタイプを選ぶことが大切です。
有名な「アイリスオーヤマ」のエアリーシリーズや、東洋紡の「ブレスエアー」を使った製品など、選択肢はたくさんあります。失敗を防ぐ3つの基準を見ていきましょう。
1. 1枚で敷くなら厚さ7cm以上を目安にする基準
今ある布団の上に重ねるなら3cmから5cmのトッパータイプで十分です。しかし、フローリングに直接1枚で敷くなら、最低でも7cm以上の厚みを選んでください。
薄すぎると、寝たときに床の硬さを感じてしまう「底付き感」が出てしまいます。10cm程度の厚みがあれば、これ1枚でリッチな寝心地が得られます。
2. 部屋の掃除や収納に便利な三つ折りタイプの使い勝手
ワンルームにお住まいの人や、毎日布団を上げ下げする人には三つ折りタイプが便利です。折り曲げられるため、コンパクトに収納できます。
また、三つ折りタイプは中身のブロックを入れ替えることができます。一番へたりやすい腰の部分を、頭や足の部分と交換して寿命を延ばせるのが魅力です。
3. 自分の体重に適した硬さと密度の数値を確認
ファイバーマットレスには、製品ごとに硬さの設定があります。体重が重い人は、より密度が高くて硬いものを選ばないと、十分に支えきれません。
逆に体重が軽い人が硬すぎるものを選ぶと、反発が強すぎて体が痛くなることもあります。自分の体格に合った硬さかどうか、口コミなどを参考にチェックしましょう。
自宅でできるお手入れと正しい洗い方の手順
せっかく洗える素材を選んだのですから、正しい洗い方を知っておきましょう。基本的には水洗いが可能ですが、守るべきルールがいくつかあります。
正しくメンテナンスをすれば、清潔な状態を長くキープできます。お休みの日に行いたい、かんたんなお手入れ手順をご紹介します。
1. 40度以下のぬるま湯シャワーで汚れを落とす方法
まずは外側のカバーを外し、中身のファイバーを浴室へ運びます。40度以下のぬるま湯を使って、表面から裏面までシャワーをまんべんなくかけましょう。
熱湯を使うと素材が痛んでしまうので、必ず温度設定を確認してください。網目の間に挟まったホコリや皮脂汚れを、水圧で押し出すイメージで洗います。
2. 中性洗剤を使って気になるニオイをケアするコツ
ニオイや汚れがひどいときは、薄めた中性洗剤を使っても大丈夫です。スポンジに洗剤を含ませて、優しく叩くように洗ってください。
洗った後は、洗剤が残らないようしっかりとすすぎます。樹脂素材は水切れが良いので、洗剤残りも少なく、比較的かんたんに綺麗にできます。
3. 直射日光を避けて風通しの良い日陰で乾かす重要性
洗い終わったら、風通しの良い日陰に立てかけて乾かします。ここで一番やってはいけないのが、太陽の光に直接当てる「天日干し」です。
紫外線は樹脂を劣化させ、ボロボロにする原因になります。室内で扇風機の風を当てたり、浴室乾燥機の冷風機能を使ったりして乾かすのが正解です。
使用上の注意点と長く使い続けるための工夫
高価な買い物だからこそ、できるだけ長く愛用したいですよね。ファイバーマットレスの寿命を延ばすには、日々のちょっとした工夫が効果を発揮します。
丁寧な扱いを心がけるだけで、数年後の寝心地に大きな差が出てきます。覚えておきたい3つのコツを確認しましょう。
1. 定期的に表裏や上下を入れ替えるローテーション
マットレスは、どうしても重い腰の部分からへたっていきます。3ヶ月に1回程度のペースで、頭と足の向きを逆にしたり、表裏をひっくり返したりしましょう。
負荷がかかる場所を分散させることで、一部分だけが凹んでしまうのを防げます。これだけで、マットレスの寿命を1年から2年延ばすことができます。
2. カバーを併用して中の繊維の摩擦や劣化を防ぐ対策
ファイバー素材をそのまま使うのではなく、必ず専用のカバーや敷きパッドを併用してください。カバーなしで使うと、寝返りの際の摩擦で繊維が傷んでしまいます。
また、直接肌が触れると皮脂が奥まで入り込み、汚れの原因になります。しっかりした厚みのカバーを使うことが、中身を保護する一番の対策です。
3. 湿気がたまらないよう定期的に壁に立てかける習慣
通気性が良いとはいえ、床と接触している部分には湿気がたまります。週に1回はマットレスを壁に立てかけて、底面に空気を通しましょう。
特にフローリングに直置きしている場合は、床との間に結露が起きやすいです。湿気を逃がす習慣をつけることで、カビや嫌なニオイを完璧に防げます。
電気毛布や湯たんぽを使いたい時の寒さ対策
冬場にファイバーマットレスを使うとき、一番の悩みは「寒さ」と「熱への弱さ」です。ぬくぬくと暖かく眠るためには、少し工夫が必要です。
熱に弱い素材を守りながら、快適な温度を作るテクニックをお伝えします。冬の準備をする前に、以下の方法をチェックしてみてください。
1. 耐熱温度を確認して低温設定で利用する際の注意
最近では耐熱性を高めた製品も出ていますが、基本的には低温設定が鉄則です。電気毛布を使うときは「弱」から「中」程度に抑えましょう。
タイマー機能を使って、眠りにつくときだけ温めるようにすると安心です。一晩中高温で温め続けるのは、素材の劣化を早めるため避けてください。
2. 厚手のベッドパッドを重ねて熱を遮断する工夫
熱からマットレスを守るために、厚手のウールや綿のベッドパッドを間に挟むのが効果的です。これが断熱材の役割を果たし、直接的な熱ダメージを軽減します。
また、このパッドが空気の通り道を適度におさえてくれるため、保温性がアップします。冬場だけは「通気性を抑える」ことが、暖かく眠るコツになります。
3. 湯たんぽが直接マットレスに触れない置き方の基本
湯たんぽを使う場合は、必ずタオルや厚手のカバーで包んでください。本体が直接マットレスに触れると、その部分だけが熱で凹んでしまうことがあります。
置き場所も足元など、長時間同じ場所にとどまらないよう工夫しましょう。少しの手間で、大切なマットレスを熱トラブルから守ることができます。
ファイバーマットレスがおすすめな人と向かない人
最後に、あなたが本当にファイバーマットレスを買うべきかどうかを判断しましょう。どんなに優れた寝具でも、個人の好みや体質によって合う合わないがあります。
自分のライフスタイルや寝心地の好みを思い浮かべながら、以下の項目をチェックしてみてください。
1. 汗をかきやすく布団の衛生面を一番に考える人
夏場に背中の蒸れで目が覚めてしまう人や、寝汗が多い人には心からおすすめします。これほど通気性に優れた素材は、他には見当たりません。
また、ペットを飼っている人や小さなお子様がいる家庭でも、丸洗いできる安心感は代えがたいものです。清潔さを最優先するなら、間違いなく満足できるはずです。
2. 筋力が弱く寝返りの回数が減って腰が重い人
「朝起きたときに体がバキバキに固まっている」と感じる人は、寝返りがうまく打てていない可能性があります。高反発なファイバー素材が、その動きをサポートしてくれます。
少ない力で体が動かせるため、夜中に目が覚めにくくなる効果も期待できます。腰の沈み込みを抑えて、すっきりとした目覚めを手に入れたい人に向いています。
3. 柔らかく包み込まれるような寝心地を求める人の注意点
逆に、低反発マットレスのような「ふわふわ」「もちもち」した感触が好きな人には向きません。ファイバー素材は、どちらかというとガッシリした硬めの感触です。
ホテルのような柔らかい寝心地を期待して買うと、硬すぎると感じてしまうかもしれません。柔らかさを重視するなら、ウレタン製のマットレスを選んだほうが無難です。
まとめ
ファイバーマットレスは、樹脂でできた3次元構造によって、今までの寝具にはなかった通気性と清潔さを実現した素材です。丸洗いできるという唯一無二の特徴は、毎日の睡眠環境を劇的に変えてくれるでしょう。
一方で、熱に弱いというデリケートな一面もあります。冬場の寒さ対策や熱への配慮を忘れなければ、腰をしっかり支えてくれる頼もしい相棒になります。
もし購入を検討しているなら、まずは今使っている寝具の上に重ねる「トッパータイプ」から試してみるのも賢い選択です。厚さや硬さをじっくり吟味して、あなたの眠りを支える最高の一枚を見つけてください。
この記事で紹介した選び方やお手入れ方法を参考に、ぜひ快適なファイバーマットレス生活をスタートさせてみましょう。